MS-18ドライバーの故障を防ぐ

From Field Bulletin 1990
Updated 03/31/1996

 最近の高出力アンプによる、650R2のユニット破損に関して、今に始まったことではないのですが、 1990年に、MS-18の破損があまりに多かったため、Meyer Soundから650R2のアンプの出力、マウントに関して注意が出されています。 その当時、以下の文を要約してアルテニュースに掲載しました。

<MS-18ドライバーの故障を防ぐ MeyerSound フィールドブリテンより>

TO: SR製品ディーラー及びユーザー各位

1990/12/12
文書名:Field Bulletin (MS-18)
翻訳:久保田 不二

 私達は、ここ1年で650-R2キャビネットのMS-18ドライバーの現場における故障ケースが増加している点に注意を向けています。 故障のうち75%はオーバーエクスカーション(出力の増大により極端に過度な振幅)によるもので、その結果ボイスコイルがギャップの底に強くぶつかるか、ギャップから完全に飛び出してしまいます。故障したユニットの15%は、過度な連続パワー(例:焼けたコイル)の形跡を残していました。残りの10%は、物理的な取り扱い上の様々な問題が原因でした。

故障の原因

調査によると、こうした故障の大半は圧倒的に2、3のディーラー及び
エンドユーザーに限られ、原因は次の3つのうちいずれかに属すること
がわかりました。

1. 《非常にハイパワーなアンプの使用》  

 この習慣(残念なことに、これが一般に普及し始めている)は、メイヤーサウンドが公表している推奨事項に相反することで当社の保証が無効になります。特に、120V付近で電源レールを使っているパワーアンプ(Crest Model 8001はその一例)は、最も一般的なトラブル原因です。そのようなアンプの各チャネルは、並列につないだ2本の650R-2で2オームに負荷がかけられている時でさえも、100Vバーストまで伝えることができます。こうした状況下では、個々のMS-18が1200Wバーストパワー以上を「経験」します。これは破損するのに十分すぎる程で、とりわけ信号エネルギーが40Hz以下の周波数にあれば、さらにその傾向が強まります。
2.《アンプ2チャンネルでをMS-18を2本駆動する》
 このやり方には何のメリットも無く、MS-18ドライバーを危険にさらします。まず、2つのアンプ・チャンネル間に僅かでもボルテージ・ゲインの差があると、2本のMS-18の相互負荷に不均衡が生じ、両方のエクスカーションとなる結果となります。(もっと僅かなチャンネル間のゲイン差でも、ハイパワーなレベルでは油断なりません。)次に、もし2つのアンプ・チャンネルのうち片方が機能を停止すると、片方のドライバーからの負荷を失うため、もう一方のチャンネルに接続されているMS-18のエクスカーションが大幅に上がります。
3.《配置が原因となる音響的負荷の不均衡》
 650-R2を床面に垂直に置いた場合、床面に近い下の方のMS-18は上部のMS-18より良好な音響的負荷が得られます。通常のパワーレベルでは、その影響は破損の原因になる程の大きさではありません。しかし、ユニットを絶対限度まで徹底してプッシュすると、負荷の不均衡によってエクスカーションが起きかねません。

忠 告 事 項

1: 貴社、あるいは貴社のクライアントが、パワー出力とゲインの両方ともメイヤーサウンドのスペック上のアドバイスに適合しない使用方法を固持した場合、ドライバーの故障が起きることを承知していなくてはなりません。プログラムのエネルギーを40HZ以上に制限することで、故障率を下げるのは可能かも知れません。とにかく、過度なアンプパワーが原因の故障にはメイヤーサウンドの保証が付きません。
メイヤーサウンド製品と一緒に使用するパワーアンプは、最大80Vで、ボルテージ・ゲインは30dBかそれ以下のサプライ・レールを採用するように強くお勧めします。のようなアンプでしたら、十分なピークエネルギーを得られ、尚かつドライバーの故障率を低くおさえ、保証の対象でいられます。
2: 貴社、あるいは貴社のクライアントが、パワー出力とゲインの適切に役目を果たすよう、十分な本数の650-R2を使用する。650-R2は、効率の良い高性能なサブウーファーですが、実際的な方法で使用しなくてはなりません。もっと多くのサブウーファーをシステムに補足し、それを適切にアレイし、2分の1π空間4分の1π空間ローディング(バッフル効果、ミラー効果)を利用すると、低域のヘッドルームが増加してドライバーにかかるひずみが減少します。
3: パワー定格がメイヤーサウンドが推奨するものと相反するようなアンプは取り替えをする。それを実施してみたディーラーやエンドユーザーからは、MS-18の故障が激減したという報告が届いています。
4: 2本のMS-18は、ひとつのアンプチャンネル出力に必ず並列でつなぐこと。これは、一番安全な接続方法というばかりでなく、アンプパワーの最も効率的な使用ができるという結果となります。
5: システムがどうしてもその絶対限度まで徹底してプッシュされるような場合、両方のMS-18の音響的負荷が確実に釣り合うよう、650-R2を横に寝かせて設置してください。

arte information:
NOTE:
この後になってB2EXが発売され、大出力のパワーアンプであっても、エクスカージョンリミッターによってユニットが保護されることになりました。
アルテの場合は従来のB2Aに、EXリミッターカードを追加しているため、製品のB2EXとは見た目は異なりますが、大出力アンプABT(PRO10)・BH(YMAHA7500)には、B2A_EXを使用しています、1チャンネルあたり、650R2を1キャビネット(2ユニット)パラレル駆動をするようにしています。
PC2002系は、B2Aのままです。

最近の大出力アンプに、B2Aを使用することは、絶対禁止です。


禁止事項
『MS-18を他社のメーカーのコーン・ドライバーと取り替えれば、同じようなパワー条件のもとでも、そのドライバーは故障しない』というような噂が流れています。これが事実だとすると、取り替えたユニットが間違いなく低いコンプライアンスを示しているからです。低いコンプライアンスは、過度なエクスカーションの可能性を減らしながら、機械的にピーク・エクスカーションを制限します。 しかし、だからと言ってよりスティッフな18インチのドライバーの方が優れているという意味ではありません。例えば、よりスティッフなコンプライアンスだと、ドライバーに対してより高い共振振動数を与えます。それにより、低域の性能(特に、よりコンプライアントなMS-18用に設計されたキャビネットの中では)が低下します。そればかりでなく、よりスティッフなドライバーは、常にMS-18よりリニアー性がずっと劣ります。結果的にディストーションの増加を生じることになります。従って、他社の18インチ・ドライバーを取り付けた650-R2キャビネットはメイヤーサウンドのスペックに適合しません。当社はそうした取り替えを推奨しませんし、それを実施するディーラーやユーザーのサポートをすることはできません。

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